日本国内には、多くの鋼構造物があります。
 それらの多くはさびを防ぐ保護の目的や美観のためにさまざまな塗料が塗装されており、使用される塗料には数多くの天然物質や化学物質が原料として使用されています。それら原材料は配合と使い方によっては環境や人体に影響を与えるものもあります。
 近年特にクローズアップされているものは、さび止め顔料に使用されていた鉛(鉛丹、亜酸化鉛等)や着色顔料に使用されることの多い六価クロム、また昭和42年から47年頃までには塩化ゴム系塗料に含まれる添加剤の一種、可塑剤としてポリ塩化ビフェニル(PCB)が使われていたことがわかっています。

 北海道内においては国道、道道、市町村道あわせて約22000橋の橋梁が架設されており、その約半数が鋼製の橋梁といわれています。
 これらの鋼製橋梁は、昭和初期の頃より道路網の発展に伴い建設され、防錆塗装として、鉛系さび止め塗料がさびを防ぐ塗料として盛んに使われてきました。

 その後、平成12年5月に循環型社会形成推進基本法の個別法のひとつとして「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」いわゆるグリーン購入法が制定されました。これにより今まで塗料に防錆顔料や着色顔料として重金属である鉛やクロム等が使用されてきましたが、以後使用出来なくなり、鉛・クロムフリーの塗料が使われるようになりました。グリーン購入法制定以降は鉛・クロムが規定以上含まれる塗料は使用されなくなりましたが、過去に塗装された橋梁をはじめとする鋼構造物には多くの鉛やクロム等の有害な重金属が塗料の中に混入されています。

 交通インフラの重要な要である橋梁は、道路管理者により点検、補修が行われており、鋼橋については定期的に塗替塗装が行われていますが、予算等の関係もあり、必ずしも計画的に実施されていないのが現状です。また、鉛・クロム・PCB等の有害物質が含有している橋梁についての、対応はまだまだ遅れているのが実態です。

 鋼構造物塗膜処理等研究会では、防錆防食塗装分野においては経験豊富な会員が多く在籍しており、既存の鋼製橋梁の補修計画や塗替塗装の計画に伴い、これらの有害物質が含有しているかどうかなどについて、道路管理様や多くの建設コンサルタント会社様より依頼を受け、現地調査、塗膜採取、分析を行っております。


塗膜有害物含有調査について